妙国寺


大蘇鉄の伝説

堺市堺区材木町東田4

戦国時代の末期、無敵の力を誇り全国統一の野望
を抱いていた織田信長は妙国寺の蘇鉄の噂を聞く
に及び、それを寺から撤去し、天正4年(1576)に建
てたばかりの安土城に運ばせた。天守閣前の庭に
植えつけられた蘇鉄に大満悦の信長は、諸大名を
呼びつけて盛大な宴を開き、駆けつけた大名達も
眼前の樹齢数百年の蘇鉄を誉めそやした。数日後
のある夜、信長は蘇鉄を植えた日から毎晩、皆が
寝静まった頃にすすり泣く声が聞こえてくると家臣
から知らされた。行ってみると、確かに蘇鉄から「妙
国寺へ帰りたい。」という泣き声が聞こえるではない
か。怒りを露にして信長は家来に切り倒すように命
じた。家来達が刀を抜いて切りつけた時、なんと驚い
たことに切り口から鮮血のような液体がほとばしって
家来達の着物を真っ赤に染め、その上大蛇のように
身をくねらせて悶え始めたではないか。家来達は恐
怖で縮みあがり、月明かりに照らされたその不気味
な光景から目を背けてしまう者もいた。これを見てさ
すがの信長もただならぬ気配を感じ「夜明けと共に
元あった場所に戻せ」と叫んだ。  パンフレットより






戻る